iPhone雑感

先日のMacworldでiPhoneが姿を現して、iPhone関連のエントリーもひとまず落ち着いた感がある。
はてなの言及数をみるといきなり600強くらいだろうか、文字通りインパクトを与えた感じだ。Google Trends をみると、ニュース参照量は現在がピークだが、検索量は2005年9月8日のインパクトのほうが大きい。今回のは折込済みってことなんだろうか、そのときに比べると80%くらいのピークになっている。(なぜかアテネで盛り上がってる?)
さてiPhoneの姿をみて、かなりぎゅっとつかまれてしまったところだが、ITpro『iPhoneの衝撃,Appleのモバイル市場参入が各業界を揺らす』(参照)がとてもわかりやすかった。

約2時間の基調講演でSteve Jobs氏がその大半の時間を割いて説明したのはiPhoneだった。講演開始の30分後,Jobs氏は「この2年半,私はこの日を待っていた」と切り出し,iPhoneについて語り始めた。「1984年,MacAppleだけでなくコンピュータ業界全体を変えた。2001年,iPodは我々の音楽の聴き方だけでなく音楽業界全体を変えた。そして今日,我々は革新的な製品を発表する」(同氏)。
 
「その1つはワイドスクリーンでタッチ・コントロール付きのiPod。そして2つ目の製品は革新的な携帯電話機だ。3つ目はインターネット通信デバイス」---。Jobs氏のこの言葉で誰もが3つの製品を想像したとき,同氏はおもむろにこう言った。「実はこの3つは全部1つのデバイスに備わっている。これを我々はiPhoneと呼んでいる。そして我々はこれで携帯電話を再定義する」。会場が歓声で沸いた。

魅せ方がホントうまいなぁ。
固定観念というか、箱から出られない思考に陥ってしまうことを改めて痛感させられる。ポジションの取り方が鮮やかだ。

Appleが何をもって携帯電話を再定義するのか?その根拠の1つとしてJobs氏が挙げたのは,ユーザー・インタフェースだった。壇上のスクリーンには「Nokia E62」「Palm Treo」「moto Q」「BlackBerry」といった他社製スマートフォンの写真が映し出された。そしてJobs氏はそれらがすべてキーボードを備えていること,そうしたボタン類が固定されていることが問題なのだと指摘した。

origamiなんかをみたときも思ったが、仮想キーボードっていうのはいいアイデアだよね。実際にキーボードを使いたくなるような状況で、origamiにせよiPhoneにせよ仮想キーボードが使いやすいかはわからないけど、キーボードというハードにとらわれていたことの指摘が最高だ。この気付きは大きい。W-ZERO3とかで自分が感じていたデザインと使い勝手のもやもやはキーボードだったのだと気付かされた。このパラダイム転換で今後携帯電話のデザインは大きく変わっていくのだろう。

同氏がiPhoneの特徴として次に挙げたのが同期機能だった。iPhoneではこれまでのiPod同様,「Charge & Sync」が基本になるという。(中略)同期対象となるのはiPod同様,音楽/ポッドキャスト/映画/音楽ビデオ/写真といったコンテンツのファイル。そして住所録やカレンダーなどのデータである。これに加えiPhoneではブックマークや,メール・アカウント,メール設定といった日常のインターネット利用に不可欠なデータも同期する。そしてこれらを一括して行うソフトがiTunesなのだという。

そこでふと思うのだが、私には音楽を持ち歩くというライフスタイルがない。なのでiPhoneのもつ「ワイドスクリーンでタッチ・コントロール付きのiPod」というのには関心がわきにくい。ただ、今後は様々なことでビデオというものがフォーカスされるだろうとは思うので、そういう意味では興味はある。日本でもNHKとかのテレビ番組のタイムシフト視聴が可能になれば映像を買うことにはやぶさかではないが、果たしてビデオを持ち歩く状態というのはどんなものか想像しがたいのが正直なところ。
なので結構スルーしていたところで、Life is beautifuliPhoneApple TVの発表で明らかになった新生アップルの経営戦略』(参照)をみて、ふたたび考えさせられた。

そう考えてみると、今回のMacWorldで発表されたiPhoneApple TVも、ハブであるiTunesからみれば、iPodと同じ位置づけのスポークにあたるデバイスに過ぎず、そういったデバイスから直接iTune Storeにアクセスしてコンテンツを購入できるようにする(アップルおよび既存のiTunesユーザーにとっての)メリットはほとんどない。そこで iTunes抜きの中途半端なユーザー・エクスペリエンスを提供して、他社のデバイスと真っ向から戦うよりも、あくまでパソコン上で動くiTunesがあるからこそのトータルなユーザー・エクスペリエンスで勝負して、他社に真似出来ない戦い方をするのがアップルにとって正しい戦略である。

iTunesが中心なのだというのもはっとするところではあるが、この指摘でいくつか見かけていた直接音楽を落としてこれないというのもすべて戦略なのだと気付かされる。
音楽も映像もきっと持ち歩かないだろう私にとって、唯一「Charge & Sync」するのはカレンダーだろう。
ここのところGoogleカレンダーを使っているが、これは便利。もともとシステム手帳も使わないのでスケジュールは卓上カレンダーにメモるくらいだったからか感覚が近しい。悩みといえば会議などでデスクにいないときに予定を確認できないこと、次の予定をカレンダーに書き込めないことだったので、そういう意味ではGoogleカレンダーも卓上カレンダーも同じパラダイムにある。次に携帯電話を新しくしたらWINにして、携帯電話でGoogleカレンダーにアクセスすることかなぁなんて思っていた。
今使っているtalbyも2年経った。今年は新調しなきゃという気分だが、au春モデルが発表(参照)されたとあるのでみてみると、琴線にふれたのはW52Tだろうか。デザインを見比べるとiPhoneが際立っているが、まぁそれはおいておいて・・
いままでWebカレンダーに直接アクセスすることをイメージしていたけど、改めてカレンダーは直接アクセスするのと同期するのとどっちが都合いいかなぁと考えると、デバイスを持ち歩いている限り使い勝手に違いはない。同期がとれれば十分だ。
あとはiTunesで同期がとれてWindowsで動くGoogleカレンダーのようなユーザー・エクスペリエンスをもったGUIのカレンダーがあればいい。(そんなのあるのか?)
そうそう、私としては音楽よりも写真がとれるとうれしい。個人的にはKodak V705のようなカメラが携帯電話と同じデバイスになればいうことないなぁ。