知識の枠組み

NED-WLT『 経験の受け皿』(参照)を読んで、研修の効果に関する最近の疑問について再考した。

同じ経験をしても、そこからたくさんの学びを得る人と、ほとんど何も得ない人がいます。実際に、こうした「経験の受け皿」が大きい人と小さい人がいることは、多くの人が気がついていると思います。

基本的には左回りの仮説化が原因だと思う。「経験(する)」→「指摘(みる)」→「分析(考える)」→「仮説化(わかる)」→「経験」を右回りに繰り返すことに対して、「経験」→「仮説化」に最短でまわることが問題だと思っていた。思考停止状態で、これってこういうことだよね、と思いこんでしまうことが、気付きが少ない原因ではなかろうかと考えていた。


なので、例としての会話も、ちょっと違うことを想像してしまう。

例として、社員Aと社員Bの会話を考えてみます。

社員A「昨日の会議で部長に言われたあの件、どうしようか」
社員B「売上げに対して、利益が少ないって話?」
社員A「うん。あれ、本当は俺も気がついてたんだ・・・」
社員B「ま、でも今はまだ12月だからさ」
社員A「・・・そうだね、まだ時間あるし大丈夫だよね」

社員Aは、部長の印象から、この状態をほっといてはダメだというように感じていて、少し気になっているのに対して、社員Bは、スルーしていていいんじゃないの?という感じに見える。
なので、

認知科学の世界におけるスキーマとは「知識の枠組み」のことです。人間は、断片的で不完全な情報を受け取ったときに、この枠組みに基づいて、足りない部分を補って推測による理解をしています。

というのも、社員Aのほうが社員Bよりスキーマのメッシュが細かい、と読み取れて、ロボットとの比較より興味深いと感じた。


スキーマのメッシュというのは、とてもすっきりと呑み込めたと思う。
社員Aと社員Bのアンテナの感度の差が、スキーマのメッシュの細かさにあるとすると、同じく疑問に思う。

では、経験の受け皿としてのスキーマを育成することは可能なのでしょうか。


リンクをたどると(参照)、えー、読書かぁ、研修で効果を上げていくのは難しいなぁと、くじけそうになる。

英会話の勉強においてスピーキング(発信)よりはリスニング(受信)が先ということと同様に、圧縮(発信)と解凍(受信)では、解凍させる能力、すなわち本を読む能力の開発がまず先に立ちます。同時に、良い文章にたくさん触れることで情報を解凍させる能力を磨いていると、自然に良質な圧縮の技術を学び取って行くことができます。ところで、ブログにエントリをアップするという作業は、もしかしたらこの圧縮技術の修得に最適なトレーニング方法かもしれません。

脳内に情報の圧縮、解凍ソフトウェアを組み込み、それを絶え間なくバージョンアップさせて行くという作業が、読書のユニークな本質なのではないかと考えているからこそ、僕は子供に読書の習慣を植え付けようとしているのです。個人的には、読書をすればするほど、脳という知識創造プロセッサの能力は高まると期待しています。

圧縮と解凍というニュアンスも、すっきり入ってきた。
そうかもしれない。
子供のころからトレーニングできればいいのだ。自分の子供には本読みをしているけど、社内研修で・・と考えると、思考がとまりそうだ。
魔法の方法があるとは思ってなかったけど、いい方法はないかなぁ。