ビジョン

R30::マーケティング社会時評『書評:「中村邦夫 『幸之助神話』を壊した男」』(参照)で「中村邦夫 『幸之助神話』を壊した男」(森一夫著・日本経済新聞社)が紹介されている。それを見て本がほしくなったけど、買ってまだ読めていない本が2冊もあるし・・。ちょうどいま来期の経営方針策定作業に入っているからか興味深い。メモ的に引く。

2000年6月に社長に就任した中村が、その経営改革「創生21」の最初に発したメッセージとは「創業者の経営理念以外には聖域を設けず、破壊と創造を徹底的に進める」だった。

エントリーの中でIBMのドラスティックな復活について「巨象も踊る」(山岡洋一・高遠裕子訳、日本経済新聞社)から引用されている部分だが、これも引く。

今のIBMにもっとも必要ないもの、それがビジョンだということだ」と言って記者たちを戸惑わせた。
「今最優先すべきは収益性の回復だ。会社のビジョンを掲げるのであれば、その最初の項目は、利益を出して、収益を回復することにすべきだ」。御託を並べているときではない。「ほんとうの問題は、市場に出ていき、市場で日々行動を起こすことだ」

ちょっと話は違うが、最新号の日経ビジネス2005.8.22号の特集「なぜ絶てぬ企業不祥事 CSRで会社を守れ」の中の「創業理念が見えざる命綱」で松下が紹介されていて、やはり中村社長のことが取り上げられている。
ブランディング作業で理念や思想についてまとめる作業をしてブランド再構築を行っている。今月初めに行った研修でもテーマとして扱ったが、ビジョンというのはともすれば詭弁になりかねない。机上の論理にならないように、戦略というものを考えさせられる。