テレビCM崩壊

ようやっと読み終えた。正直この本で語られるような世界は、まだUSの話なのかなというという印象だ。itunesの日本のサービス開始を思いおこすと、新しい広告プロモーションは2、3年後くらいになるのだろうか。
大手ならともかく中小企業は話題になればよいといった花火的なCMもつくる体力もないが、広告はリーチしてなんぼみたいなところもある。かけたコストと売上効果を比較されるようなことは、実際はまだないと思う。日本でもタイムシフト視聴が普通にできるようになって、15分送れで番組を見始めても終わりが一緒みたいな世界になれば、パラダイムは変わるだろうなぁ、と。
いずれにせよ2006年のキーワードの1つは「YouTube」だろうと思うのだが、個人の情報発信も映像を簡単にアップするという手段を手に入れて、ますます伝播力が増すことになるだろう。YouTubeの使われ方はUSでは情報発信、日本ではみんなのアーカイブみたいな記事もあったが、今後は個人作成のビデオも増えるのではなかろうか。
この本のなかでもっとも残ったところを引く。

プロのテニス・プレーヤーを見習うといいかもしれない。一度のショットを最後のショットのように丁寧に返す。チャンピオンになれるプレーヤーは、0-40のマッチポイントにまで追い込まれても逆転できる。我々も、消費者との接触を毎回これが最後かもしれないという緊張感を持って接するようにするべきだ。

成功が目的ではなく過程であるのと同じで、ブランディングもまた、最終的な目的ではなく過程なのだ。そういう意味で、どの消費者とのタッチポイントにおいても、消費者が魅力を感じる完結型のブランド体験を演出しなければならない。

一期一会ではないが、まさしく一撃必殺で魅了するような気持ちが必要なのだろうと思う。そして「ブランド体験」することが大事なのだと思う。
自戒をこめて、新しい3つの役割をメモ。

マーケティング論と広告論の教科書には、一貫して広告の基本的な3つの役割が書かれている。
・情報の提供
・説得
・再想起
この3つこそが、テレビCMの存在理由なのである。

広告の3つの新しい役割を紹介しよう。(中略)その3つの役割は、次の通りである。
1 消費者に主導権を与える
2 消費者に製品を説明する
3 消費者に参加してもらう
これらの役割は、認知ベースではなく、目的ベースであり、ただ闇雲に鉄砲を撃つのではなく、消費者行動と実際の消費者の商品に対する関心と関わり方を予想して行なっていく。

ホントのところはどうなのか知らないが単純に「続きはWebで」だけではそんなに興味を引かれることはないと思うのだ。
もっともテレビで再想起できていると思っているうちは、新しいアプローチをとるのはむつかしいだろうけどね...